動作を確認しましょう!

運動動作の確認は身体の状態を知るうえでとても多くの情報を教えてくれます。日常姿勢や動作の乱れに注意を払う機会は少ないかもしれませんが、しっかりした目を持てば、自分の身体の状態を知るとても有意義な材料を与えてくれます。自分の身体の状態を知り、運動する意義や効果をより実感できるようになってください。


大切な背骨の運動能力


人間の身体の形はとても不安定です。狭い足裏の上で高い身体重心を支えなければなりません。ちょっと身体を傾けただけで、身体重心は足裏の基底支持面の外に飛び出してしまいます。

じつはこの不安定さを利用して、人間の身体運動は造られています。不安定であるということは、言い換えると転がりやすい、動かしやすいということでもあります。

人間の姿勢は、この不安定さをいかにうまくコントロールするかという目的にそって出来上がっています。この秩序はかなり厳格なものなので、注意深く観察すると身体の不調や自律神経のアンバランスなどを読み取る指標ともなります。

姿勢を知ることは、その人の身体の状態を理解するうえで第一歩なのです。


成長にともなう姿勢の変化


人の身体は成長するにつれ、次第に重心位置が高くなり、足裏は身体の直下に集まって、基底支持面が狭くなってゆきます(下図)。

【姿勢観察ファイル】歩行動作の発達

これは身体がより不安定な方向へと形を変えていくプロセスです。もちろん身体の運動能力は、形のうえでの不安定さとは反比例して上昇していきます。不安定な身体が転がろうとするエネルギーを利用して身体運動のエネルギーを生み出せる身体になっていってるのです。

これは姿勢制御の秩序がより厳格に、またすばやく正確に働くようになるプロセスでもあります。身体の動きを観察するとは、このような秩序の表情を読み取ることなのです。

たんに動きやすい・動きにくい、痛い・痛くないといったレベルの観察と姿勢の秩序を理解した観察ではその意味や目的が大きく異なるのです。

歩く動作はそのような姿勢の秩序がもっとも顕著にあらわれる瞬間です。下の図は、歩行時の左足を挙げた瞬間の背骨の運動をまとめたものです。

歩行時の骨格


歩行時の関節運動が保たれているのか


地面から離れた足の骨盤は下に下がり、身体を支えている側の骨盤は高くなります。それに伴って腰の領域(腰椎)、背中の領域(胸椎)にそれぞれ異なる側彎が生じます。

このような腰椎と胸椎の対照的な側弯は、協調して上半身の捻じれを作り出します。歩くときに足の動きと逆モーションで腕を振るためにはこのような背骨の運動が不可欠になります。

日常の方向動作は、おおむね一分間に100歩のペースで進行します。毎日の通勤通学、家事や買い物の行き来のなかで、このような背骨の運動が果てしもなく繰り広げられるのです。しかし、腰が硬くなりお腹が前に出てくるとこのようなリズムが崩れてきます。

立った時に無意識にお腹を前につき出してしまう人は、歩くときに上体を前傾させる特徴があります。このような方の方向動作では、腕をふっても上体があまり捻じれなくなっています。

路上観察138

このようにして、歩くことが持っている背骨の運動効果が次第に失われていきます。実際に背筋に手を当てて歩いてみると、このような細かな関節の動きがしっかり行われているかどうかを感じとることができます。

細やかな関節運動が保たれているかいないかと不眠や便秘などの身体の不調には深い関係があります。それは、背骨の関節運動の低下が、関連部位の自律神経脳の低下をもたらすからです。

残念ながら、このことがいまの世の中で十分に理解されていないまま、誤った運動が勧められているケースが少なくありません。


緻密な運動と体幹の安定性


身体運動には、「動きをつくる働き」と「関節のズレを防ぐ働き」が同時に働いています。

動こうとすれば、関節にズレ圧力がかかります。ズレを防ぐ働きが過剰になると正常な動きができなくなります。

正しい身体運動は、背骨の全関節の役割分担のうえに成り立っています。しかし、現代の生活では、日常の動作の大半は、目や指先を使った緻密な運動に費やされ、背骨の関節は身体を固定するために何時間も同じ緊張状態を強いられがちです。

パソコンを操作する、目で書類やディスプレイの文字を追いかける、調理をする、片づけをする、目でテレビや新聞の情報を追いかけるなど、背骨を固定する作業が主体になっています。その結果、関節のズレを防ぐ働きが過剰になって、固定され硬くなった関節がつぎつぎと生まれてしまうのです。

このようにして硬くなりすぎた部位で、身体のこわばりや血行の不良などによる身体の不調が生じてくるのです。

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動きの不調を見つける


このような関節運動の異常は、まず立ち姿勢のなかに表れます。さらに頸部腰部の前後方向・左右方向・回旋方向の対称性の崩れのなかに表れます。

これらをさまざまな身体症状のカウンセリング、指先による触診と照合しながら関連付けていきます。その際重要なことは、関節と固定する深部の筋肉によく注意を払うことです。

身体は、構造上、短く狭い範囲を結ぶ筋肉(短関節筋)が骨に密着した深部に分布するようにできています。骨格の形状とこれら関節を固定する筋肉の走行は密接に結びついていて、解剖学的バイオメカニック的な観察眼を持って観察にあたることがとても重要なのです。

問題を起こしている関節を適切に捉えることができると、身体の芯に響くような心地よい響きが起こります。背骨の関節が整うと、姿勢が変化すだけなく、立つにも歩くにもラクな姿勢が自然ととれるようになります。

なにより刺激によって心地よい疲労感が生まれ、深くよく眠れるようになります。脊髄神経と関節運動に対する調整は、身体の変化を実感できる有意義な時間となるでしょう。

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